インドネシアのJenderal Soedirman大学(以下UNSOED大学)との交流を開始して、本年で5年目です。UNSOED大学と本学は以下のような学術交流協定を結んでいます。A.学生の交流、教員の交流、B.共同研究および共同出版、C.研究会および学会の開催、D.学術資料およびその他情報の交換と広範囲なものです。
この協定に基づきいろいろな交流を行っています。まず、学生交流です。昨年はUNSOED大学から来た留学生2名が経営学部を卒業しました。卒業生のうち1名は本学大学院に進学し、もう1名は企業に就職しました。そして、現在はUNSOED大学から来た留学生4名が経営学部に所属しています。また、UNSOED大学学生に向けたSKYPEを活用した遠隔授業も3年前より行っています。これは主に日本の技術の現状や日本の文化を紹介するものです。その他、UNSOED大学学生が来日し、本学の授業に参加しての合同授業を行いました。
本学からは、2015年、2016年と経営学部学生が「海外研修」授業でUNSOED大学を訪問して共同で授業や企業調査を行っています。2016年の「海外研修」授業ではUNSOED大学学生とともにココナッツ・シュガーを製造する企業の調査を行ったり、合同で授業を受けたりしました。上の写真はその送別会の写真です。また、2015年には3年生の辻君がインドネシアの中学生約60名に対して「日本の文化」というタイトルで講演を行いました。本学3年生ヒルワさんの通訳が良かったこともあり、好評を博しました。下の写真は日本の茶道について説明しているところです。このように学生の交流は着々と進んでいます。
一方で教員の交流はあまり進んでいません。2015年にはUNSOED大学の先生が本学で特別講義を行いました。また、本学からは浮穴先生や私がUNSOED大学を訪問するたびに、講義を行った程度です。
例えば、上の写真はUNSOED大学農学部の先生約20名と農学部学生約100名に「日本のいちごビジネス」というタイトルで、甘くておいしく長持ちするイチゴを開発した経緯や、その努力によりイチゴビジネスが大きく発展している様子を紹介した時の記念写真です。 私の横にいるのが農学部長です。
また、今までに何回かビジネス経済学部の学生に対して、日本のサプライチェーン・システムの状況を、製販統合システムからERPシステムへさらにSCMシステムへ進化した歴史を紹介したのちに、SCMシステムの時代をユニクロのSCMシステムや 伊藤園のSCMシステムなど数多くの実例を含めて紹介してきました。
そこで、学生だけでなく教員の交流ももっと積極的に行おうということで交流5周年事業としてUNSOED大学よりビジネス経済学部長Dr. Suliyanto Sudarto Sanreja先生や国際学科長Dr. Agung Praptapa先生以下10名の教員と7名の学生を迎えて「International Japan Business & Culture Workshop」を開催しました。先生方は10月15日に来日しました。そこでKIXにて出迎え、大阪のホテルに移動したのち、大阪城を見学しました。16日は金閣寺と京都で一番有名で、京都を訪れた観光客の半分が見学する清水寺見学を企画しました。ところがインドネシアで一番有名な伏見稲荷も見学したいという意見が出て、急きょ3か所を見学し、夜遅く高松に帰着しました。17日はonline classに関する打ち合わせや経営学部授業の紹介を行った後、栗林公園を訪れ、日本庭園について勉強したのち、山田屋でさぬきうどんを堪能しました。その後、商店街再活性化に成功した丸亀町商店街を見学しました。この丸亀町商店街に関しては、事前にWorkshopでパワーポイントを用いた説明を行っておきました。18日はWorkshopの一環として、いろいろ討論を行うとともに、仏生山の法然寺を見学しました。インドネシアからの18人は全員がイスラム教徒のため、仏教のお寺を興味深く見学しました。この法然寺は江戸時代前期の寛文8年(1668年)に徳川光圀の実兄にあたる高松藩初代藩主松平頼重が、戦乱で荒れ果てていた生福寺を法然寺と改名して、香川郡百相郷(現在地)に3年の歳月をかけて移転・建立したお寺です。法然寺を建立した頼重は「水戸黄門」こと徳川光圀(とくがわみつくに)の兄であり、日本で初めて本格的な上下水道設備をつくった人物としても知られています。
また、法然寺背後の仏生山丘陵上を削平し「般若台」と呼ばれる松平家の墓所を設けて、高松松平家の菩提寺としたこともあって、有名なお寺です。境内にある三仏堂では涅槃図を再現した寝釈迦様がいらっしゃいます。 仁王門も立派で、迫力のある仁王様を 見ることができます。 最近できた五重の塔も綺麗です。このように多くの建物がある法然寺境内を細井住職や中川さんに丁寧に案内していただけました。細井住職から「質問はありますか」と問いかけると、「仏様はどのような顔をしていますか。」という質問が出て、さすが、「偶像崇拝の禁止」のイスラム教徒だなと思いました。その質問に対し、細井住職は「本当の顔はわかりません。仏師が仏典の中に書かれている人となりから想像した顔を彫っていて、それが現在では仏さまの顔とされています。」と外国人にも分かりやすい説明をしていただいたのが印象的でした。
このように今回のWorkshopはUNSOED大学の教職員には日本の文化や技術を理解してもらういい機会になりました。また、われわれも海外から見た日本を実感することができました。今後とも、教員交流も深めていき、お互いにより良い教育ができるようになりたいと思った1週間でした。(丸山 豊史)
International Workshopを開催しました