正解はどこに?

大きな事故や事件以外、あまり驚かなくなった。高齢者に分類される歳を目の前にして、経験値が上がったからなのか鈍感力が増したからなのか。いずれにしろ昔のようにポリグラフの波形のような感情になることは少なくなった…と思っていた矢先の1月某日、「…なんと!ホンマか !?」と、久しぶりにたまげてしまった。
玄関前にキッチンカーで出店していたリバプールさんに行列しカツサンドとコーヒーをPayPayで支払ったとき、一緒に並んでいたM君が放った何気ない一言。「そういえば昨日テレビで言ってたんですけど、最近の若い人はQRやバーコードじゃなくて、現金で支払うことが多いんだそうですね」。私からみると十分に若いと思う彼が言う「若い人」って、つまりは10歳代後半~20歳代?周りでサンドイッチの出来上がりを待ってるこの人たちが…?
“人生幸朗(じんせい こうろう)”師匠なら「責任者出てこい!」と絶叫し、“おいでやす小田”さんなら「コラ~!」と大声を出すに違いない。だって、若い人は大多数がスマホ決済でしょうに!若人代表を自負するコメンテーターも「現金を持って外出したことなんて、もう何年もありませんよ」なんて公共の電波で豪語してるし。

そんなときに見つけたのが、日経クロストレンド(2024.1.9)に載っていたこんなデータ。
消費者約3万人に実施(2023.7)したさまざまな持ち物データや価値観の調査の中の「よく利用している電子マネー・電子決済サービス」の項目にある「『電子マネー・電子決済サービス』を利用している」と回答した人を男女年代別にまとめたもの。ならすと、利用しているのは男性60.4%で女性59.5%。5年前と比較すれば男性は微増なのに比べ、女性は5%ほど増加しているそう。
「SuicaからPayPayへ 5年で変わった調査データで見る電子決済」マクロミル ブランドデータバンク

確かに20歳代男性の数値は極端に少ない。でも、同年代の女性は多いぞ! 実際、スーパーやコンビニで財布を開いている若人の姿はあまり見かけないような。地域差もあるのかな。そもそもがASPサービスなので母体は何だろう、等々。元データにアクセスできていないので、残念なことに未だM君の一言に首肯できない状態。皆さんならどう考えますか?

あなたの経済圏は?
iPhoneの日本上陸を機にauからsoftbankへ乗り換えて以来、私の主な経済圏はソフトバンク。例えばショッピングサイトはYahoo!ショッピングでスマホ決済はPayPay、キャリアはY!mobile、旅行はYahoo!トラベル。ポイ活はPayPayポイントの自動運用で、今日(2024.5.17)の運用損益は+54.31%(!)。どのサービスにも結構満足している。

400mトラックなら第3コーナーを回ったカーブ。加速し、最後の直走路に繋ぐ勝負所。そんな人生100年時代の終盤に差し掛かっているのに、時代は先が見渡せず正解を得られない。現金でも電子決済でも何でもいいので、波風の立たない誰にでも優しい世の中であってほしいものだが…無理やろなぁ。

平畑博人

掲載日:2024.05.18

ハラカドとオモカド

ゴールデンウィークに東京に行っていたので、マスコミに取り上げられていた「ハラカド」に行ってみた。ハラカドとは2024年4月に原宿に新しくできた商業施設で、地下には銭湯もある(2024年5月6日現在、銭湯は近隣住民のみしか利用できないので残念ながら入れなかったのだが)。建物は地下1階、GF(グラウンドフロア)、1階、2階、とつづき、7階までの全9フロア。1・2階は物販中心で従来型の商業施設のイメージ。3階は物販スペースもあるものの、FMラジオ局のレンタルスタジオや、企業のショールーム、会員制カフェなど物販以外のスペースが占めている。目を引くのは4階から上である。4階はリラックス空間とでも呼ぶのだろうか。カフェがあるだけで、あとは壁や床に絵が描かれていたり、木の置物があったり、椅子がおかれて購入した飲み物を飲むという、ただそれだけのスペース。5階はフロア全体が飲食店。そして6階は飲食店が入っているが、緑豊かな森を思わせる外部空間が半分ほど占めている。一番上の7階はテラスが半分以上。
つまり、神宮前交差点という都内でも屈指の立地で地価がとんでもなく高い場所(おそらく1平米あたり500万円くらいか?)の施設でありながら、地下に銭湯(料金は520円で東京の他の銭湯と同額!)があったり、モノを売るスペースは半分程度という、常識外れの「商業施設」となっている。正直、「これでどうやって儲けるんだろう?」と思ってしまう。

神宮前交差点を挟んで「オモカド」がある。こちらは2012年に開業した商業施設で、世界一の朝食が食べられる店舗が入っているなど、ハラカドと同じく、開業当時、マスコミをにぎわした商業施設である。ハラカドとオモカドは、神宮前交差点を対称点として建物の雰囲気もよく似ているので鏡に映したようにも感じられるが、その中身はハラカドとは全く異なる。上層階の飲食店を除くとテナントは基本的には物販の店舗が中心で、いわゆる典型的な商業施設である。開店前にオモカド前に大行列を作っていたと推測されるBTSのPOP-UPにいたArmyたちを除くと、ハラカドのにぎわいとは異なり、施設全体でみるとオモカドのほうは少し落ち着いた感じの人の入り具合である。

2012年にできた施設と2024年にできた施設。ちょうど干支が一回りして、消費の在り方が大きく変化したことをオモカドとハラカドは如実に表しているのではないだろうか。「コト消費」という言葉がよくつかわれるが、供給側はモノを売るのではなく、体験を売るにはどのような商業施設にしたらいいのか、ハラカドにはその試行錯誤が感じられる。たとえば銀座にある物販中心の商業施設のいくつかは、立地が抜群であるにもかかわらず閑古鳥が鳴いている。そのためテナントが集まらず閑散としており、それがさらに客を離れさせるという悪循環になっている。ハラカドには、「そういう商業施設にはさせないぞ」という開発者側の強い意志を感じるというと言い過ぎだろうか。
現時点のハラカドとオモカドの人の入り方の違いは、もちろん、ハラカドのほうが最近できたばかりだからという理由が大きいだろう。しかし、今やあらゆるモノがネットで買えるので、物販を中心とする施設は、集客はかつてほど容易ではない。オモカドの人の入り具合は少なからずそのような消費行動の変化が影響しているのではないだろうか。他方、体験を売るということは、わざわざそこに行かなければ消費できないということであるから、その場に行く理由が存在する。さらには人と人の交流を促す場として商業施設をとらえているようにも感じ、ハラカドは現代の消費行動を背景にしたチャレンジングな商業施設なのだろう。人の集まるところ・交流するところに情報が集まり、ビジネスが生まれる。今後、ハラカドはいったいどのような情報を発信してくれるのだろうか、楽しみである。

ちなみに筆者自身はハラカドよりもオモカドのほうが面白さを感じた。体験ベースという点でいうと、その意味では筆者の中ではハラカドよりもオモカドに軍配が上がる。オモカドは2012年から施設としてシジュウカラの営巣に取り組んでおり、成功したのはこれまで3回。そして今年は2年連続、営巣に成功し、それを入口の階段に大々的に宣伝している。これだけ聞くと、「だから何?」となるのだが、当事者はいたってまじめに取り組んでいる。フロアごとに営巣プロジェクトに関するいろいろなコメントが書かれており、その本気度がじんじんと伝わってくる。こういう、表参道のど真ん中で、枠にはまらない奇天烈なことを、何年にも渡り、いたってまじめにやる。そういうの、面白くないですか?

藤原泰輔

掲載日:2024.05.10

必ずしも“質問する=積極的”ではない!

学位記授与式が終わり、現在は、新年度を迎えるための準備中です。

新入生及び保護者の皆さんは、4月2日の入学式を楽しみにされていることでしょう。私たち教職員も、皆さんにお会いできることを心待ちにしています。皆さんにとってこれからの4年間が実り多き日々になるよう、精一杯サポートしていきたいと思っています。

大学は、学びや経験の積み重ねのなかで、自分自身を深く知り、自分と自分にかかわる周囲の人々を幸せにできる力を獲得する場所です。高校までと違い、自分で探究し、自分の考えを自分の言葉でレポートにまとめ、発表する機会が増えます。教員から教わることもありますが、ときには自分ひとりで文献とじっくり向き合い新たな知識を得たり、友人や教員とのディスカッションを通して新しい視点やアイデアに気づいたりすることもあります。主体性を身につけ、学びの多様性を存分に経験できる4年間となるでしょう。

ところで、高松大学に異動して2年が過ぎようとしています。授業をするなかで、少し気になっていることをつづりたいと思います。

試験前になると「先生、この授業の試験範囲ってどこですか?」「どうやったら、単位がもらえますか?」と質問に来る学生がいます。試験範囲や評価方法は授業中に伝えている(欠席者にも対応すべくGoogle classroomにも情報をアップロードしている)にもかかわらず、です。なんでだ?

ある時「どうしてそんなこと聞きにくるの?」って逆質問すると、「高校の時、先生に質問に行くと、積極的だと評価されたんです。大学でも、点数アップしてくれますよね!?」と意識高い系のドヤ顔で答えてくれました。

絶句。。。いや、違うよ。

「質問する=積極的」という考えは必ずしも正しいとは言えないのです。質問することは大切だし、質問する勇気も認める。分からないことを放置することのほうがマズイですから。しかし、やみくもに質問すればよいわけではありません。

何を質問するのか(質問内容)や、質問に至るまでに自分で解決しようと努力したのか(質問に至る経緯)も大切なのです。

授業で何度も伝えた内容を、質問に来る行為。それは、勉学への意識が高いのではなく、授業を聞いてないということを自ら立証しているだけかもしれません、ね。

髙塚 順子

掲載日:2024.03.26

学会での大会実行委員長で沁みたこと

昨年11月24日~26日まで、レグザムホールの小ホール5階多目的会議室玉藻にて、「日本コンピュータ化学会2023秋季年会in高松」の実行委員長を担当させていただきました。
https://sites.google.com/view/sccj2023au/top
これまで、いくつか、イベント責任者等をこなしてきたつもりでしたが、学会の大会運営はそんな程度ではなかったです。今回、骨身に沁みたこと、書いてみます。

  1.  うどん県だけじゃない、高松で開催するということ
    大会に向けて、準備しなければならないことが日々山積みになっていきます。優先順序を付け、提出書類を忘れないよう、ホームページおよびメールチェックを1日何度となく・・・楽しいけれど、学生さんがよく言うところの「へこむ」症状が出たり、出なかったり。
    それでも、始まってみると、全国からお集りいただいた方からの「うどん屋に1日で〇軒まわった」とか、「瀬戸内のお魚は美味しい」、「多島美を体感した」などの感想をうかがいながら、何よりしっかり議論する場を提供できたかなという気持ちが持てると、あの日々の踏ん張りは無駄ではなかったか、とも思えていくのでした。
  2.  ネットワーク?アンテナを張る重要性
    この1年間?なんせ、「どうしたら、高松での学会、成功させることができるでしょうか?」を、やたらと聞いて回りました。それぞれの立場の方が、私をある意味で「わらしべ長者」のように次のステップへ導いてくださいました。個々人のお名前を出すことは控えますが、本当に感謝しています。そして、何より、素直に聞いてみると、世界は広がるんだ!を実感していきました。ネットワーク?アンテナを張る、これは本当に面白く、重要なことです。
  3.  最後は人です
    2につながることですが、集ってくださった皆様に感謝します。そして、そこには、朝早くから、夜遅くまでの準備を一緒に走ってくれたスタッフにも感謝します。映画のエンドロールで、こんなにたくさんの人、企業、組織等が関わっているの?と感嘆すること、ありませんか?私は多方面からあらゆる人に助けてもらい、まさに、この気分を実感しました。


神部 順子

掲載日:2024.02.08

還暦同窓会についての個人的感想

当方も還暦に達し、昔のことを懐かしく思うお年頃となったのですが、好都合なタイミングで高校の同窓会(同期会)の案内が往復はがきで来ました。当方が卒業したのは千葉県立東葛飾高校で、県立高校にもかかわらず、私服で校則もなきに等しく、自由を大いに満喫しました。そんな高校でしたので、返事は脊髄反射的に「出席」で出しました。

その同窓会は、昨秋の休日に高校所在地の千葉県柏市で開かれたのですが、会場に到着したときから、当方には違和感がありまくりでした。一見したところでは、誰が誰だか全然わからないのです、まぁ、月日は40年以上流れているわけで、無理もありませんが。悪い人相になったヒトはほとんどいませんが、それにしても、基本的に若いときの面影が見いだせず、目に光がないヒトが多く、年よりじみて、果ては妖怪のようになってしまっているヒトとかもいて、本当にジジィ手前の集まりでありました...。

そして、かつて3年生で所属したクラスごとに丸テーブル席につきました。隣に座ったのはわりと知っているヤツで話が弾んだのですが、後は親しくないヒトばかりでした。出席者全体の名簿を見ても、知らないヒトがあまりにも多いのです。これはなんとしたことなのでしょうか。そのうちに、一人30秒程度での自己紹介タイムが始まりました。

これを聞くと、出席者は首都圏で働く(働いていた)会社員のヒトがほとんどで、自分と同じような研究職のヒトとかはほとんど参加していないことが判明しました。また、健康面については、かなり多くのヒトがなんらかの基礎疾患を抱えているとのことで、隣に座ったヤツなどは、糖尿、高血圧その他を抱えているのにヘラヘラしているので、「怖くないのか?」と聞いたら、「もう慣れた、なるようになるさ」という返答でした。

そして、2次会に突入して、新たに同席したヒトたちより、今回の同窓会の開催経緯が聞けました。なんでも、同期のFacebookグループが存在するとのことで、今回の出席者はほとんどがこれに所属しているとのことでした。つまり、普段から連絡を取り合い、それなりの人脈を形成しているヒトたちが、コロナも明けたし、そろそろ同窓会でもやるかという話になって、幹事団が選出され、連絡もFacebookを通じて逐次スムーズになされ、それに幹事の一人より往復はがきで連絡が来た当方のようなヒトを一部混ぜたとのことでした。なるほど、当方が知らないヒトが多数であったのはこれで合点がいきました。

高松に帰った後、当方が会いたかった方々数名に連絡を入れたのですが、皆、「同窓会があったのか!」と驚いていました。そして、「キミは連絡が来たら出たか?」と尋ねると、「いいや、恐らく行かない」との回答でした。今回、当方が主に会いたかったのは、高校当時、同じく理系コースに所属して切磋琢磨した仲間で、現在も第一線で研究職や技術職に就いている方々でした。大学生の頃と同様、彼らと最先端の技術課題やその解決アプローチなどについて意見交換し(実際には教えてもらい)たかったのです。しかし、鈴木信行『同窓会に行けない症候群』(日経BP)によると、彼らは現在も仕事が忙しいが故に、同窓会などに参加するヒマはないとのことです。

なるほど、確かにそうかもしれませんね。さらに同書によると、昭和の時代では、右肩上がりの成長により、多くの勤め人が胸を張って同窓会に出席できましたが、低成長が続いた平成の時代では、出世も困難で、自信を失ったヒトも多くなり、同窓会がそもそも成り立ちづらくなっているようです。してみると、同期卒業生361名(卒業後の死亡者は数名確認されているようです)のうち100名程度が所属しているFacebookグループメンバーの大半(80名程度)が出席した事実より、我が同期生の卒業後の状況は比較的ましと考えられるのかもしれません。

ここに至り、当方は、自分が、同窓会を単純に、牧歌的に捉えていたことを思い知りました。まぁ、何事も自ら経験してみると、実情が具体的に理解できるので、よい経験値UPにはなったのですが、ならば、今後、同窓会が再び開催されたら自分は出席するかというと、やはり、行かない側に回りそうです。同窓会という形式は、人数が多く、やたら騒がしく、ゆっくり話もできないので、それよりは、会いたくなったヒトに個別にアポを取って、会いに行った方が相当ましと思った次第です。

その際の話題ですが、今後は、年齢的に仕事についてはフェードアウトしていくので、趣味が中心となるでしょう。現在の自分の趣味は、まず、「旅行」と答えるのですが、その内容は「離島訪問、B級グルメ、温泉、車中泊」などとなります。続いて、「ホームシアターでの昔のアニメを中心とする映像鑑賞」があります。「PC」も自作するぐらいだから趣味に数えてよいでしょうね。そして、「サイクリング」、これは今でもちゃんとトレーニングしているので、胸を張って言えますよね。忘れていたのが「鉄道模型」、大型レイアウトは未だ制作していませんが。他に、「読書」としては、軍事、鉄道、恐竜とか、いろいろなジャンルの本を集めています。さらに「麻雀」や「クイズ」も、趣味に数えられるかもしれません。

とりあえず、自らの趣味を思い起こしてみましたが、我ながらわりと多趣味ですね。この程度あれば、会いたいヒトたちと数時間意見交換するのは容易だと思われるのですが、果たしてどうでしょう?そして、同窓会でも、このような情報提供の工夫があれば、その後の交流促進に繋がったかもしれませんね(各種SNSで勝手にやれ、と言われそうですが)。

正岡 利朗

掲載日:2024.01.19