国際交流(カンボジア)

今年の7月にカンボジアの経済発展省(MIHと略す)の職員10名等カンボジアの将来を担う人たちが「日本の中小企業研究」のためにやってきました。そこで私が「日本の中小企業発展の歴史と課題」について講演をしました。下の写真がその時の記念写真です。記念に貰ったカンボジアのスカーフをしているのが私です。

「カンボジアの人たちへ日本の中小企業が現在抱えている問題を説明してほしい」という依頼がありました。現在わが国の中小企業が抱えている問題の大きなものは
①「新規事業をどのように育てるか」

②「後継者を育成か・廃業か」 多くの経営者が世代交代の時期に差し掛かっている
③「国際化にどう取り組むか」 少子高齢化のため国内市場の縮小が続く
④「金融や販売の支援」 の4つがあります。
これらのことは中小企業白書等に詳しく解説されています。
今回のプレゼンテーションではこれらの課題に関して
①「新規ビジネス」では、取り組んでいる企業が43%、取り組みの中心者は社長で、新しい柱を作りたい・顧客からの要請・地域に貢献したい・下請を脱出したいということで取り組んでいる。新しい商品を思いついたから新規ビジネスを始めたといったケースはほとんど無い。
②「後継者を育成か・廃業か」では、日本の経営者は高齢化しているため、ほとんどの企業が悩んでいる。中小企業のうち、大きめの中企業は事業継承が多く、小企業は廃業が多い。後継者として選定するには 専門知識・実務経験・営業力・判断力・リーダーシップが必要。また、負債の継承が必要なことに加え、取引先、金融機関、従業員との良好な関係を持てることも大切。また、経営の継承者を育成するには7年かかる。
③「国際化にどう取り組むか」では、取り組んでいる企業は1%とごく少数派。
④「金融や販売の支援」はとても充実している。中小企業は素晴らしい製造技術、サプライチェーンを持っているのだが、そのような企業も時々金融や販路拡大では困ることがある。
等です。
以上のような内容をまとめながら、カンボジアの現状を調査すると、一人当たりのGNPは1,016ドル(2013年)、933ドル(2012年)です。日本では1956年昭和31年に経済白書の中で「もはや戦後ではない」という有名な言葉が書かれました。当時の一人当たりGNPが約1,000ドルです。中国では2000年ごろです。言い換えると一人当たりGNP1,000ドルというのは、高度成長の入口にあたり、国内産業が育ってきているものの衣料等付加価値の少ない商品でも輸出競争力は低く、今後製造力を向上させることにより縫製品等の世界の工場になっていくという状況のはずです。
カンボジアの産業別規模をみると、農業(33.6%)、縫製業(9.9%)、建設業(6.5%)、観光業(4.6%)(2012年)です。そこで、日本の高度成長開始から一人当たりGNPが2000ドルを超えるまでの日本の製造業の概況を説明するとともに、当時の中小企業がどのように発展してきたかを説明として加えました。また、海外ビジネス立ち上げの事例として、ココナッツ砂糖ビジネスの説明を行いました。
このような説明を行ったところ、好評で講演時間を1時間延長するほどの積極的な質疑応答がなされました。また、ココナッツ砂糖に関しては「ぜひ一緒に進めたい」との積極的な提案もいただき、サンプルのココナッツ砂糖も送っていただきました。(丸山 豊史)