世界遺産 850年前の「うだつの町」 中国 宏村

世界遺産に選定されている850年前の「うだつ」の町に行ってきました。
この写真の町は中国 安徽省 黄山市 にある宏村です。
山東省に居を構えていた商人汪氏が数年ぶりに帰国すると、住居は消失していました。そこで汪氏は風水で新しい住居を求め、この地にやってきまし た。そしてこの宏村を開拓し、火事に強い町をつくりました。まず第一は「うだつ」です。
「うだつ」とは隣家との間についた小さい防火壁で1階屋根と2階屋根の間に張り出すように設けられているものです。家屋が隣り合い連続して建てられている場合に隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁として造られたものです。
第二の火事対策はすべての住居の前に用水路を通し、消火しやすいようにしました。

第三は窓を極力小さくし、火事が広がりにくくしました。その代わり、屋根に大きな穴を開け、「天井」と名づけた明り取りを作りました。これが「天井」の語源になったそうです。上の2枚の写真はお店なので、お店部分が大きく開かれています。でも、裏通りや狭い道に面した住居はこのようにして明り取りを行い、窓はほとんどありません。
この宏村を訪問するまで、「うだつ」というのは、徳島県の脇町等にあるもので、財力を誇示するために作られてきたと思っていました。日本での歴史としては、もともとは延焼防止だったのですが、江戸時代中期頃になると装飾的な意味に重きが置かれるようになり、財力を誇示するための手段として、商家等の屋根に立派なうだつが作られるようになりました。うだつを作るためにはそれなりの出費が必要だったことから、これがある家は比較的裕福な家に限られていました。これが「裕福になれない」という意味の「うだつが上がらない」の語源だそうです。美馬市脇町は塩江の隣です。近いところですのでぜひ一度は行ってみてください。
なお、以下は 脇町の「うだつの町並み」の説明からの引用です。
[1]東西に通じるメインの道路の長さは約430m、指定地区の面積は5.3ha、伝統的建造物は88棟、環境物件(石垣や井戸等)65件、修景物件(母屋、塀等)94件です。
[2]通りに面した母屋のうち、伝統的な町屋は50戸あり、そのうち22戸が間口四間半(9m)以上の規模となっています。敷地の奥行きは間口に比べて深く、80m以上のところもあります。
[3]建物の特徴は、屋根は本かわらぶきであり、2階の窓は防火に重点をおいた「虫籠窓」となっています。2階の屋根の両端に漆喰塗りの「うだつ」があります。
[4]建物で最古のものは、1707(宝永4)年の棟札が確認されています。地元では全戸が参加して、保存会を結成。一致団結して、町並み保存と修復に努めています。(丸山 豊史)