昔の丸亀の思い出

高松大学に赴任して一年がはや経過した。思えば、あっという間の一年であった。
学生諸君の顔も少しずつ覚えてきたし、住まいとしている丸亀から高松までの車通勤にも慣れてきた。通勤に使っている国道11号線は道路が整備されているため、スピードを出す車も多く、それだけに事故も多いので、運転には慎重さが求められる。
さて、丸亀は古い城下町であるが、高松の通勤圏内ということもあり、地方にありがちな人口減少はそこまで深刻ではない。ただ、駅前の商店街はどこの地方都市にもみられるシャッター商店街化しており、昔を知る者にとって寂しさは否めない。その代わり、郊外には大型の商業施設・ショッピングモールが次々と出来ており、その周辺には多くの新しい住宅が建っている。車社会を前提にしたこうした地方都市の景観の変化は、極めて画一的で地方独特の味わいが失われていることに一抹の寂しさを覚えるのは私だけではないだろう。しかも、高齢化社会の進行により、今後益々増加するであろう車で買い物に行けない、いわゆる「買い物弱者」に対して行政はどのような対策を考えているのか、疑問を持たざるをえない。話は変わるが、東京への一極集中が進む中、大災害が予想されている状況下で地方への行政機能の分散化などは差し迫った問題だと思われるが、どうもこの点でも行政の動きが鈍いのが気になるところである。(井藤 正信)