不安定な世の中と若者の可能性

最近の世の中はつくづく不安が続いて心休まる日がない。コロナから始まってロシアによるウクライナ侵攻、さらには少し前に起こったトルコの巨大地震、こうした状況はいつまで続くのだろうか。できるだけこうした不安がなくなるようにしたいものだが、個々人の力では何ともしがたい。
日本だけに関しても不安な要素が至るところにある。長く続く経済の低迷、円安に伴う輸入物価上昇によるいわゆるコストプッシュインフレが我々の生活を苦しめている。それに対して賃上げを表明する企業もかなり出てきているが、その大部分は大企業である。我が国の企業数の99.7%(2021年版中小企業白書)を占める中小企業は、賃上げをする余裕が極めて少ないのが現状である。
ただ、救いは若者の求人数が増加しており、特にIT関係の人材不足は顕著である点である。また、一部ではあるが、四国の企業の中にも賃上げを表明してる企業が出てきていることである。高松に本店を置く百十四銀行が22年ぶりにベースアップを4月に実施すると発表したのは香川県民にとっては久しぶりのうれしい経済ニュースだ。
高松大学の学生にとっても若年層に対する求人数の増加は喜ばしいことである。特に経営学部はIT教育にも力を入れており、企業のニーズに応えられる人材育成をしていることから、今後の就職には大いに期待できる。もちろん、学生たちには資格の取得だけでなく、どのようなところで働こうと自分の力を如何なく発揮できるように大学において自分の能力に磨きをかけてほしい。少子高齢化社会という困難な状況に置かれた日本であるが、その困難を乗り切るには若者の力が欠かせないし、そのための支援(就学困難な子供たちへの支援の拡充など)を政府には是非ともお願いしたい。

井藤 正信