コロナ禍の生活

夏休みが終わり、後期の授業が始まりましたが、皆さんは夏休みにどういう生活を送ってきましたか?香川県にもまん延防止等重点措置が適用され、友人たちと会ったり、どこかに出かけたりといったことがかなり制限されてきましたので、かなりフラストレーションが溜まっているのではないかと思います。
私自身もほとんど大学に通う以外は自宅に引きこもりの生活でした。読書したり、ネットでユーチューブを見たりといった怠惰な生活に終始していました。こんなことではだめだと思い、何かできることはあるのではないかと考え、以前の趣味を復活しました。それは切手取集です。今の学生の方にはたぶん分からないでしょうが、実は前回の1964年東京オリンピックの頃は切手収集が一大ブームとなっていました。記念切手(何か記念になるようなことがあると発売される切手、普段使用する切手は通常切手と分けられていました)が発売されると子供たちは学校があるため、郵便局に買いに行けないので、親に頼んで郵便局に並んで買ってもらっていました。当然、オリンピックが開催されたわけですから、オリンピックの記念切手が発売されますよね。切手は額面10円でしたが、実はそこには落とし穴があったわけです。5+5と切手には表記されていました。実は、その切手は使用するには5円分の価値しかありませんでした。当時、普通郵便は10円でしたから、オリンピックの記念切手を使用すると2枚貼る必要がありました。じゃあ、残りの5円は何かというと寄付金です。つまり、1枚購入するごとに5円の寄付をしていたわけです。
切手を収集されている方の間では、常識ですが、寄付金付き切手は人気がないのです。というのも、発行枚数も多いこともあって、価値がありません。そういったことを子供ですから、分からないので、夢中でオリンピックの切手を集めました。私もその例外ではなく、我が家には現在でも300枚以上が眠っています。何しろ、当時の郵政省は売れると見込んで、第1次から第6次まで何種類もの切手を発売しましたから国家の財政に相当の貢献をしたと思います。それに味をしめて、郵政省は記念切手ブームに乗じて発行枚数を次々と増やしていき、それが結局は切手ブームを終わらせることにつながりました。まさに市場経済システムのモノの価値は需要と供給の関係で成り立っていますから、あまりに供給が多すぎる(切手の大量の発売)のに需要が追い付かず、価値がなくなるのは当然です。ちなみに当時の子供たちの欲しい切手の代表は「月に雁」と「見返り美人」でした。発行枚数が少ないのと取引価格が高かったのがその理由だと思います。子供たちも値上がりを期待して買っている面があったのは事実です。

井藤 正信