高校生の皆さんは、「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」という番組を知っていますか?これは、NHKのHPによると、「無名の日本人を主人公に、新製品の研究開発、社会的事件、巨大プロジェクトなどに焦点を当て、その成功の陰にあった知られざるドラマを伝える“組織と群像の物語”」とあり、2000年から2005年まで放送され大きな反響を呼んだ番組です。現在、NHKBSプレミアムと4Kでリストア版として放送されています。
最初に放映された当時、“子育て”、“(論文や学会発表といった)自分育て”に追われ、じっくり観た回は少なかったように記憶しています。また、登場される方達の多くは、すでに定年退職等でその現場を離れている(ご年配の方の登場)ということもあり、「すごい人達、すごい会社、すごい組織だな」の印象が強いばかりでした。
さて、現在です。番組が火曜日9時に始まると、涙無しには観られず、、、の時間を過ごしています。まず、あれ、こういった制作者の思いで作られた番組だったのかに感嘆します。この映像をこの時間の中に収めるために、どれだけ足を運び、どれだけの気持ちで進めていったのだろう、が気になって仕方ないのです。そして、ご年配と言って片付けていた方の年齢に自分が近づいていることの事実が突きつけられます。そうか、登場されている方々は、「こんなに若い時に、がむしゃらに取り組んでいた」ことで、テレビに出ているのだという事実もそうです。あれこれそういう意味では涙と同時に、落ち込んでしまうこともしばしばあります。
先日は、カップ麺のお話でした。大好きだった「連続テレビ小説 まんぷく」とは違った視点で、この会社の歴史やヒットを生み出す苦労を知りました。私はこの会社のものもそうですが、“ひよこ”のキャラクターに目がなく、研究室の一番いい場所にコレクションコーナーを作ってあります。“ひよこ”は「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉をいつも思い出させてくれます。「啐(そつ)」とは、卵の中の雛が「もうすぐ生まれるよ」と内側から殻をつつく音、「啄(たく)」とは、そんな卵の変化に気づいた親鳥が、「ここから出てきなさい」と外側から殻をつつく音だそうです。学ぶ側と教える側の姿になぞらえて引用される言葉です。このことをさらに肝に銘じ、日々を充実させるぞ、と再決意しています。
さあ、まずは、6月19日から始まるオープンキャンパスで、高校生の皆さんと一緒の時間を過ごすこと、今から楽しみにしております。
神部順子