コロナ禍の楽しみ

コロナがいつ収束するか見通しもつかないなか、誰もが不自由な生活を強いられている。こんなことなら、昨年のどこかの時点で日本中をロックダウンして完全に国民の動きを止め、海外からの入国者もすべて隔離するなどしておけば、ここまで感染が広がらなかったと思われるが、それは今だから言えることで、一年前にはここまで感染が長引くとは誰もが予想していなかった。
また、日本は自由主義でありかつ個人の権限が最大限尊重されているがゆえに、国民の行動を制限する法律的措置がとれなかったことも感染を止めれなかった大きな要因であろう。
さて、身動きが制限されているなかで、暇と時間がある学生だからこそできることがある。それは読書である。部屋に籠りながら、読書のなかで展開される無限の空間、過去・現在・未来に自分を移動させたらどうだろう。SF小説を読めば、いくらでも宇宙空間に自分の身を移すことができる。推理小説では、いつでも探偵や刑事になれる。ホラー小説のなかにはいれば、どのような恐怖体験も味わうことができる。ただし、本当に怖い小説もあるので、そのあたりはネットで調べてから読むことを薦める。堅い小説はどうも苦手だということであれば、ライトノベル、通称ラノベの世界に入るのもお薦めである。これもネット上にお薦め作品が載っている。
ちなみに私は江戸時代に現在ワープしている。そのおかげでこれまでうろ覚えであった徳川十五代将軍についてだいたいのことを知ることができた。江戸時代の庶民の生活、旗本・御家人の世界にも触れることができた。藤沢周平、池波正太郎、宮部みゆきといった大御所以外にも葉室麟や山本一力、その他若い作家や女流作家が続々表れている。日本の時代小説はどれも水準が高いものが多いが、個人的には葉室麟は好きで、駄作がない。ジャンルを問わず特にお薦めの作品は、SF小説であるが、ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』である。現代小説では、東野圭吾はお薦めで、住野よるの『君の膵臓をたべたい』もなかなかいい。 外で活動を制限されている現在、部屋に閉じこもっている学生諸君には、ぜひ読書に挑戦することをお薦めする。なお、具体的に小説名を記した2作品は若者向きであることをことわっておきたい。

(井藤 正信)