日本スポーツマネジメント学会での研究発表

今回は、ゼミ生の研究会(日本体育学会体育経営管理専門領域)での研究発表について報告しようと計画していました。しかし、研究会が中止されましたので、かわりに自分の研究活動について報告します。

今年の2月、日本スポーツマネジメント学会第12回大会が開催されました。わたしは「スポーツプロダクトにおける便益創出プロセスに関する理論的検討:脱論理実証主義的な製品開発理論をめぐって」というテーマで研究成果の報告をおこないました。この研究では、スポーツ経営におけるスポーツプロダクトの開発活動に関する理論的な課題について検討しました。発表では、フロアの先生方から貴重なコメントをいただけました。また、この研究は、本学の地域経済情報研究所研究会(2019年12月)で議論を深めていただいたものです。研究会でコメントをいただきました先生方に感謝申し上げます。

ところで、この学会ではオタワ大学のタックス先生の基調講演がおこなわれました。タックス先生は、メガスポーツイベントの開催が開催国に与える経済的・社会的あるいはスポーツ振興上の効果について議論されました。一般にオリンピック・パラリンピック競技大会のような大規模なスポーツイベントの開催は、開催国にポジティブな効果があると信じられていると思います。タックス先生はこのようにほとんど自明視されてしまっている、メガスポーツイベントの効果を問題化しました。ここでの結論は、メガスポーツイベントが開催国にポジティブな影響をもたらすという経験的証拠は確認できない、という非常に興味深いものでした(と記憶しています)。原文が学会ホームページ(http://e-jasm.jp/conference/cf012.html)に公開されていますので、興味がある方はぜひご覧ください。

あとは近況報告・雑談です。今年は、年始にSPOD(四国地区大学教職員能力開発ネットワーク)の教員研修を受講して、今まで以上にいい授業をしようと意気込んでいました。『大学教員のための授業方法とデザイン』(佐藤浩章 編、2010年)なるテキストも購入して、講義内容と方法を再検討しました。ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、授業実践が大変困難な状況になりました。私自身は、学習上の問いをしっかり構造化できるように、また、問いの文脈をきちんと伝えられるように、音声教材と講義資料を配信するかたちの遠隔授業を実施しています。この方法がどんなふうに作用しているのか/したのかを反省しないといけないなあと感じています。コンテンツの作成・配信という意味では、その難しさを思い知らされ、最近わいわいさんというYoutuberの配信を楽しんでいますが、それは大変だしすごいことなんだなあと感じています。

さて、感染症の影響は深刻ですが、引き続き学習機会の提供と研究活動に取り組んでいきたいと思います。みなさんも、どうか体調にはお気をつけください。(宇野 博武)