地域活性化について考える

地域活性化、地域創生、地域を元気に、といった言葉が世の中に氾濫している。にもかかわらず、地域が活性化したとか、地域が元気になったという言葉はあまり聞かれない。むしろ、高齢者の比率が高まり地域共同体が崩壊しつつあるとか、地域から若者の流出が止まらないなど地域がすたれていく言葉の方がはるかに多く聞かれる。
政府は地域を元気にするために様々な施策を講じているが、その効果はほとんどあがっていない。
むしろ、政府はその掛け声とは裏腹に地域の活性化を本気で考えているのかと問いたい。
大企業の多くが首都圏(関西圏の企業でさえ本社の首都圏への移転を進めている)に集中し、地域(地方)から企業や工場(これは海外に)が消えていっているのである。
働く場所がないから、地域(地方)から若者が出てくのは止めようがない。ごく当たり前のことである。一時、情報化が進むと首都圏に一極集中する必要はない、地域(地方)にいてもテレワークや各種通信技術、テレビ会議等を用いて仕事ができる等々で東京への一極集中は緩和されるといったことが喧伝されたが、実際はそうはなっていない。むしろ、情報化の進展は首都圏への一極集中を加速させた感さえある。
そして、もう一つ期待されたのが官公庁の地方への移転である。官公庁は許認可権を持っているためにそれらの官公庁が地方に移転した場合、官公庁とつながりの深い企業は地方に移転せざるを得ない。
ところが、一向に官公庁が地域(地方)に移転、分散化する気配はない。掛け声だけは大きかったが、まったくその気配がない。むしろ、最近ではそうした声は聞かれなくなった。残念である。
一方、経済面から考えた場合、首都圏への一極集中は合理的な面もあるが、私が危惧するのは自然災害が首都圏を襲った場合、日本経済は壊滅的な打撃を受ける可能性がある点である。
特にいつか起こると言われている首都直下型地震が起こった場合、首都機能を担えるところが他にあるのか。また、企業活動がマヒした場合、それによって日本経済は回復不能なまでに停滞することさえ考えられる。一体、その責任は誰が取るのか。
このようにみてくると、今こそ本気で地域(地方)への首都機能の分散を考える時であろう。私案だが、一時話題として取り上げられた道州制の導入と組み合わせた官公庁の地域(地方)への分散が現実的な施策だとおもわれる。(井藤 正信)