100円ショップで揃える非常持ち出し

今年も高松丸亀町のドーム下広場で「ウクレレええど2019」が開催されました。この「ウクレレええど」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災して、仮設住宅での生活を余儀なくされた方々が少しでも元気になってもらえればという願いのもとにウクレレ愛好家が集まり、ここ高松で復興支援のイベントが始まりました。「最後の一人が仮設住宅を出るまで」を合言葉に始まったイベントも今年で9年目になりました。そんな中、高松大学経営学部の学生たちに声をかけて、「ウクレレええど」でのボランティア活動が始まりました。2015年のことでした。当初は会場の設営・撤収や会場での受付等の仕事が中心でしたが、「せっかくの演奏会なので動画で見ることが出来ないか」という声に押されて、翌年の2016年からは、山口先生が中心となって動画配信を始めました。動画配信は大変好評で、仮設住宅で生活している人たちから「見ているよ」という声が聞こえてきたり、ハワイからも反応が返ってきました。

今年も山口先生を中心に動画配信を行ったのですが、ドーム下のWF環境があまりにも大きく変化(悪化)しており、残念ながら15時頃には配信を断念せざるを得ませんでした。このような中でも学生たちは、受付や案内、会場の片付けなどをしっかりと行い、実行委員の方や来場者に感謝されていました。
また、今年は「NPO法人東北ボランティア有志の会香川」の代表者藤井節子さんたちが、防災に関する展示などにより参加しました。この法人は、東日本大震災で被害を受けた東北地方の復旧・復興に寄与すること、並びに香川県民に対し、防災啓発活動を行うことを目的としています。そこで藤井さんたちが提案していたのは、「100円ショップで揃える非常持ち出し」です。これまで防災に関わったこともある私にとっても、思いもつかなかった発想であり、大変衝撃的でした。その一例を下の「一次避難持ち出し」と「二次避難持ち出し」の準備例に示してあります。一次避難とは、「緊急事態に遭遇したら、1秒でも早く逃げる。持ち出し品は、1日生き延びられる分」、二次避難とは「身の安全が確認できたら避難所へ。取りに帰れるようなら、準備しておいた非常持ち出し袋」です。また、ここでは述べませんでしたが、次の段階として「在宅避難、備蓄品」の準備例もあります。多くの専門店が推奨する非常持ち出しは、その必要性は理解できるのですが、袋の中には避難段階に関係なく必要なものが殆ど入っていて重く、また値段も高い、などの理由で中々準備ができません。袋が重いと素早く逃げることもできません。しかし、「100円ショップで揃える非常持ち出し」は、避難段階に応じた必要なものを準備しておくので、軽く、また値段も格段に安くなります。

今回の台風15号、19号、そしてその後の大雨により、広い地域で未曾有の被害が発生、今も懸命の復旧作業が続いています。痛ましい限りです。香川県は、幸いにも殆ど被害はありませんでしたが、何時災害に見舞われるか分かりません。
100円ショップで揃える「非常持ち出し」、試してみてはいかがでしょうか?
(末包 昭彦)