数字が人を動かす―ダイエット編―

ご無沙汰しております。会計コースの岡田です。日に日に気温も上がってきており、いよいよ本格的な春がやってきているなぁと実感する近頃ですが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。私は花粉症でもうダメです。

私事ではありますが、2019年を迎えて以来、体重減に向けて日々頑張っています。年末年始に帰省した際に親族から体型のこと(それ以外にも)で相当のお説教を食らいまして、これは何とかせねばいかんと、横着な自分も一念発起をしたわけです。
高松に戻り、仕事始めの後にさっそく体重計を購入しました。昨今の体重計はBluetoothでスマホに計測結果を自動で送信してくれたりして、かなり便利になっているみたいですね。
目標を立てる際には、現状と実績に照らして、目標達成へのルート(道筋)を?現実的に”計画しなければなりません。体重計を購入したのは、まず自分の体重の変化を具合を記録し、それに基づいて自分に合った減量計画を立てようと思ったからです。

しかし、実際に記録を始めてからというもの、特に大きく生活態度を変えたわけでもないのに(毎朝体重測定を行う以外)、どんどん体重が下がっていきました。その下がり様に知人からは「病気を疑った方が良い」と言われてちょっと背筋が凍ることもありますが、ここで効いているのは「実績を記録する」という行為だったのではないかと解釈しています。
それまでは、ただ漫然と「腹が出たなぁ」という程度の主観でしか自分の体型を判断していませんでしたが、実際に数字で自分の体型を測定すれば、記録された「数字」の裏に、昨日の自分の行動が見えてきます。たとえば、「昨日ラーメンを食べたから増えたのかな」とか、「そういや昨日は炭水化物をあまり取らなかったな」とか、その数字の裏付けができるようになります。

そうなると人の行動って意識的にも無意識的にも変わるものです。「特に大きく生活態度を変えたわけでもない」と言いましたが、実際には大きく変わってきているのかもしれません。特に、体重が増えた場合、前日の食生活を振り返って、「何を食べ過ぎてはいけないのか」を考え、そういった食事の頻度を下げるようになったことは実感しているところです。

これは会計がなぜ「記録・計算・報告」を行うのかに通ずるものがあります。会計が何かしらの実績を記録したり将来の予測を立てたりすることは、それによって「どう行動を変えるか」に関する意思決定を支援するためであることが1つです。投資家が「あの企業の営業利益は上昇傾向にあるから株を買っておいた方が良いな」と考えたり、経営者が「製品の製造原価が高くなってきたからもっと効率的に製造をしてもらいたいな」と考えたり、数字を参照することで様々な利害関係者は行動をより良い方向へ変える(変えさせる)ようになります。
会計とは、数字によって自分あるいは他者の行動を(より良く)変えるための技術であり学問であるともいえるかもしれません。会計数値の裏には必ず人の行動があります。その行動実績を知り、今後どうしなければいけないかを考えるという意味では、今回のダイエットのための記録も一種の会計行為なのかもしれないと考えてみました。

ただし、数字にこだわる余り、少しでも軽くしようとして体重計の乗り方を変えたりしては、数字の裏に見えるはずの行動が霞んで(歪んで)しまいます。大事なのは数字ではなく、その数字をもたらした実際の行動です。そうした「会計不正」に陥らない・騙されないためにも、数字だけではない広い視野で物事を観察することが重要です。皆さんも、幅広い興味・関心を持って学習・研究を行っていきましょう。
(岡田 龍哉)