年賀状

中国では、今月の4日から旧正月、春節が始まっており、テレビでもその様子が報道されています。そんなこともあり、今回は、年賀状について書いてみることにしました。年賀状を書き始めたのが何時かは定かではありませんが、大学生の頃には版画を摺ったり、筆で書いたりしていたことを憶えています。年賀状を書いていると、何か大人の仲間入りをしたような気持でした。その年賀状も、社会人になって徐々に枚数が増え、作成に時間がかかるようになったため、当時流行った「プリントゴッコ」を使うなどの工夫をしたものです。
このようにして年賀状を書いていたのですが、ある年京都大学の中島暢太郎先生(後の京都大学防災研究所長)からの年賀状が、1月中旬を過ぎても来なかったのです。心配していたところ、下旬になって届きました。何とチョモランマからでした。チョモランマ登山隊の気象の責任者として参加していたのです。そこには、チョモランマの雄大な自然を彷彿させるような素晴らしい文章が書かれていました。文字だけの年賀状です。感動すると同時に、文章にすれば手間をかけずに済むとも思いました。早速翌年から採用したのですが思わぬ問題がありました。単に文章を書いただけでは、あまりインパクトがないのです。そこで、印刷した文章の上から迎春などの文字を、薄い赤色で入れました。少しは良くなったのですが、印象は今一でした。そんな折、東京港にかかるレインボ-ブリッジの絵葉書が目にとまったのです。これを年賀状の下のほうに、ペンで書いて色を付けるのはどうだろうか?試してみたら、思った以上に文章との相性が良かったのです。それ以来、文章とペン画の構成に、一言添えた年賀状を作ってきました。下のペン画は、昨年の年賀状に描いたものです。

ところが、今回は様々なことが重なって、絵を描く時間が取れなくなりました。苦肉の策で作ったのが、下に示した今年の年賀状です。実物は縦書きです。絵を写真に代え、何とか大晦日までに投函できました。
年賀状はメールなどの普及とともに段々と少なくなっていますが、1年間のご無沙汰を帳消しにしてくれる、便利で心温まる習慣です。可能な限り続けたいものです。(末包 昭彦)