ちゃ・Cha・Traの世界

みなさんは、よくお茶を飲みますか? どんなお茶が好きですか?
お茶の歴史はとても古くて、紀元前2700年頃に中国で誕生したと言われています。しかし、最初は煎じ薬として用いられていました。喫茶の風習が始まったのは、前漢時代です。そして、800年頃遣唐使によって日本に伝えられました。日本人にとっては初めて見る物でしたので、呼び名は漢字の「茶」を用い、発音も中国語と同じ「cha」と言われるようになりました。
じつは、英語の「tea」も元々は中国語です。中国のお茶は、世界各地へ伝わっていくと同時に、その呼び名もいっしょに伝わっていったのです。一つは広東から、広東語の「ツァ」が、陸路で日本やインド、モンゴル、そしてロシアなどアジアを中心に伝わっていきました。ちなみにベトナム語は「tra(ジャ)」と言います。もう一つは、福建から、福建語の「デェ」が、海路で東南アジア、中東、ヨーロッパに伝わっていきました。
ところで、中国のお茶といって、最初に思い浮かぶのは何茶ですか? ウーロン茶? ジャスミン茶? 意外なことに、中国で日常的に飲まれているのは緑茶なんです。その生産量もお茶全体の70%以上を占めています。
日本で最も知られているウーロン茶の歴史は比較的新しくて、17世紀に誕生しました。そしてこの頃から、香りを楽しむ中国茶の飲み方が広がりました。
9月20日に行われたオープンキャンパスでは、留学生たちが中国とベトナムのお茶を紹介し、中国茶道の実演や、珍しいお茶の試飲で、参加した高校生たちに楽しんでもらいました。
ここで、おすすめのお茶を3つ挙げましょう。
まず、私が最近はまっている普洱茶(プーアル茶)。普洱茶はとても発酵度の高いお茶で、古ければ古いほど美味しくなります。
見た目はコーヒーみたいに真っ黒ですが、全然苦くありません。レンガのような塊を削って飲みます。
こくがあるのに、さっぱりした飲み口で、あとから口の中に爽やかさが広がります。脂っこい料理を食べたときなど、特におすすめです。ダイエット効果があると言われていますが今のところ、私には効果が表れていません。
次に八宝茶。八宝茶とは「たくさんの体にいい材料が入ったお茶」の意味で、緑茶に棗、龍眼、クコの実、干し葡萄、白キクラゲ、菊花、氷砂糖などを混ぜ合わせています。
茶葉の貴重な地域で、茶葉のかわりに花や果実を煎じて飲んでいたのがはじまりですが、清の時代には宮殿で薬膳茶としてふるまわれていました。甘みがあり、
美容と健康にいいので、女性に人気があります。
最後に工芸茶。工芸茶は、80年代から観光客向けに作られるようになりました。味は普通のジャスミン茶ですが、写真のように、お湯の中できれいな花が開くので、目で見て楽しめるお茶です。
どうです? お茶の世界は広いでしょ? 秋の夜長、勉強で疲れたときに、お気に入りのお茶でひと息いれませんか?(稲井富赴代)