学生時代に身に付けたい課題発見力

最近はAIの時代といわれています。AIは一度覚えたことはけっして忘れません。また、いろいろなことを経験すると、その経験の状況を覚えておいて、同じようなケースではそれにふさわしい答えをする事ができます。そのため、AIは使い続けていると、次第に利口になっていきます。そして、いずれは人間のベテランの人しか知らないようなことも覚えてしまい、質問されると回答するようになります。

そのため、あと十年もすると、AIはベテランのビジネスマンと同じように、お客様のいろいろな質問に対して答えることができるようになります。

このようなAIの進歩を基に、オックスフォードのマイケル・オズボーン准教授は2013年に「現在の小学生が大学を卒業する2025年ころには、現在多くの人が職業として従事している仕事の半分はなくなり、現在存在しない職業がなくなったのと同じくらい新しい仕事が誕生する。」と予言しました。その2025年まであと6年です。大学1年生の君にとっては、大学卒業後の2年後です。

2025年ごろには、現在の多くのビジネスマン、ビジネスウーマンが仕事としている「単にお客様が知らない事を知っていて、お客様に質問されるとお教えする」という仕事の多くは、AIに取って替わられます。別な言い方をすると、そのような仕事は無くなり、仕事が無くなると、失業します。例えば、弁護士、銀行員、お店で客様担当をしている販売員、本に書いてあることを説明するだけの教員などです。

このようなAIの時代を生きていく君たちは、仕事をしっかりとするためには課題発見力と課題解決力を身に付けておく必要があります。なぜなら、AIは教えられたことを覚えておき、整理して、質問されると一番ふさわしい回答をすることができます。でも、教えられていない「この状況や事柄にどのような問題があるか」を考え付くことはできません。この、「この状況や事柄にどのような問題があるか」を考え、発見する力こそ、人間がAIよりも優れている部分です。そこで君たちにはぜひ、大学時代に課題発見力を高めておいてもらいたいと考えています。

この課題発見力を高めるにはいくつかの方法があります。
① 一つは昔の人が、どのようにして課題を発見し、その課題を解決したかを学ぶことです。例えば、起業家論では過去の有名な経営者がどのように課題見つけ、それを解決して素晴らしい会社を作ったか。BOPビジネス論では現在の経営者が後進国でどのように課題を解決しようとしているかを学びます。
② その2は現在君たちの身近にある問題を発見し、解決していくことです。例えば、企業からの求人情報は、「企業求人情報システム」に登録されています。このシステムを利用していて、不便を感じたことはありませんか。この「不便に感じたことが課題」です。

課題発見能力というと、非常に難しいことのように感じるかもしれません。確かにむつかしい課題もあります。でも、ちょっと気を付ければ、気が付く課題もあります。幸いなことに現在大学の知的財産を世の中に役立つシステムにすることを進めています。この事例などを授業の中で取り上げますので、君たちも課題を発見することや、解決策を考えることを一緒に体験してみませんか。

(丸山 豊史)