昨日,夕食を作り終えた21時,NHK BSプレミアムである番組を見ることができました。『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』という女優の真木よう子さんがMCを,俳優の濱田岳さんがナレーションを務めているドキュメンタリー番組です。毎回,その中では歴史上重大であるとみんなが感じている事件や出来事(例:ケネディ大統領暗殺事件など)について取り上げられているのですが……なんと,昨日取り上げられたのは,『ウルトラセブン』でした。
「…え?!なんで!?」と驚いて番組を最後まで見ていた私は,特撮ものが,というか,特撮ものも大好きです!ウルトラマンシリーズから仮面ライダーシリーズ,他のメタルヒーローなどどれも大好きで,小さな頃はウルトラ警備隊変身セットを買ってもらって,おもちゃの光線銃(音が出るだけ)でお父さんを攻撃しまくっていました。仮面ライダーベルトを着けても変身できずに落ち込み,その苛立ちも含めて仮面ライダーの武器(剣)でお父さんを殴りまくってもいました…ごめんね,お父さん…。
しかし,ウルトラセブンがなんでこのような番組で取り上げられるのだろう?と思っていると,インタビューに答える当時小学生くらいでウルトラセブンを見ていたという男性がこのようなことを言っていました。
「なぜかウルトラセブンがとても好きなんです。」
それとは反対に,それを作った監督や出演俳優さんなどのスタッフは,「セブンは怖かったんじゃないか。」「子どもが見てわかるのかな?と思った。」とコメントを残していらっしゃいます。
しかし,意外と子どもだって『わかっている部分はわかっていたりする』のではないでしょうか。
私が子どもの頃好きだったウルトラマンシリーズのお話は,初代ウルトラマンの最終回「さらばウルトラマン」というお話でした。
簡単に説明すると,ウルトラマンが敵であるゼットンという怪獣に倒されて死んでしまうという衝撃的なお話です。ウルトラマンの必殺技がゼットンによってすべて簡単に封じられてしまうところは恐怖しかありませんでした。
ですが,私が好きなのは,ウルトラマンが倒されてからの部分でした。それまでは全ての怪獣にウルトラマンがとどめをさしていたのに対して,最終話では科学特捜隊の兵器がとどめをさすことができたのです。そして,ウルトラマンのお兄ちゃんであるゾフィーにウルトラマンは命を分け与えてもらったのですが,「もう人間は僕たちの助けはいらないね。自分たちで侵略者に立ち向かっていけるはずだ。」と言って,ゾフィーとともに地球を立ち去っていきます。
ゼットンが科学特捜隊の兵器で粉々になるところには子どもながらに驚きました。というか,「ウルトラマン,兄ちゃんいたの!?」と思いました。しかしそれよりももっと驚いたことは,それまで助けてもらってばかりだった人間が,差し迫った現実にようやく追いつけたというところでした。「すごい!人間が勝った!!」と子どもの私が戦ったわけでもないのに,なぜかすごいことをやってのけた気がしたのです。
……ええと,つまり何を言いたいかと言いますと。このウルトラマンの最終話も大人になってよく考えるとすごく「大人向け」だったんだなーと思いますが,子どもだった私にもそのすべてがわかっていなかったとはいえ,その一部くらいは理解することはできていたということです。
新製品を考えるとき,このようなアニメや特撮を作るとき,いろいろな場面で,「素人にはわからないだろう(だからウソをついてしまえ)」とか「子どもにはわからないだろう(だから適当な内容で問題ない)」といった手抜きをしてしまいたくなる,誘惑に負けそうになる時ってあるのではないでしょうか。
しかし,案外素人や子どもは「わかって」いるのではないでしょうか。手抜きがされていたら見ないし,買わないという結果が生まれます。常に相手のことを思い,全力で作品を作る,製品を作る,CMを作成するといった地道でお金もかかるような作業の積み重ねが,よいものを生み出すのではないでしょうか。
ウルトラセブンは最終的には視聴率が振るわなかったとのことですが,そのファンは今でも作品を,そのキャラクターを愛しています。その当時,子どもが見るだけだからといって手を抜かず,作品に思いを込めて全力で作り続けた結果がそこに残されているのではないでしょうか。
さて,こんなに真剣に語っていた私ですが,歴代の友人たちからよく呆れられます。
私:「ウルトラマンのスペシウム光線とウルトラセブンのワイドショットってポーズ違うじゃん?」
友人:「……そうなの?そんなの知ってどうするの?」
……結構辛辣なコメントは辛いです。でも,これからも普及活動を頑張ります!
(ちなみに,スペシウム光線は手をクロス,ワイドショットは手をL字に組むんですよ!) (竹内 由佳)
ウルトラマンの思い出