6月1日朝、大学への出勤途上、春日川にかかる橋を渡っていて何気なく上流を見ると、白くて大きいボールのようなものが目に飛び込んできました。一瞬、公園の池に浮かぶスワンボートが脳裏を横切りました。しかし、考えてみると春日川にスワンボートが浮かんでいる訳がありません。高徳線の踏切を渡って大学に近づくにつれ、その姿がはっきりしてきました。ハクチョウのようです。こんなところにハクチョウがいるわけがないと思いながらも車を止め、いつも持ち歩いているカメラで写真を撮りました。川の反対側だったのですが、かなりはっきりと撮れました。まぎれもなくハクチョウです。
でもなんでここに、という訳で早速、県庁のみどり保全課に電話しました。すると担当の方が出て「それは餌を求めて飛来したコブハクチョウです。」との返事。もともとはペットとして飼っていたが篭脱けして野生化したもので、香川県では高松市の香東川、本津川、春日川や三木町のため池など、高松市を中心に10数羽が生息しているとのことでした。時期は別として、これが越冬のために渡ってくるコハクチョウであればニュースになるのですが、との話しもありました。ちなみに、オオハクチョウが飛来する可能性は全くと言っていいほどないとのことでした。非常に丁寧に、かつ楽しそうに話をしてくれます。
そこで更に聞いていくと次のようなことも話してくれました。コブハクチョウは、これ以上増えると生態系を乱すので困ること、可愛いので餌を与えたくなるのは分かるが、脂肪が増えて飛べなくなるので止めてほしいこと、春日川には写真のようなコサギ、ダイサギ、ゴイサギなどのサギ類、更には真っ黒なカワウなど、非常に沢山の野鳥が生息していること、その野鳥のエサとなる魚などが沢山いること、それだけ自然が豊かであること、
などなどです。時間が経つのも忘れて楽しく聞いていました。このような話を聞いて春日川のことを調べてみると、驚くほど豊かな自然が残っていることが分かりました。コブハクチョウが餌を求めて飛んできたことは、その証拠でもあったのです。大学はこの自然に恵まれた春日川のほとりにあります。この環境に改めて感謝するとともに、この環境を学生にも知って欲しい思い、思わず朝の授業で話してしまいました。(末包 昭彦)
ハクチョウ