オープンキャンパスの担当(当番)は当方の場合、年間1、2回あるのですが、5月の模擬講義のお題が「先生のお宝拝見-商品にみるビジネスチャンス」ということで、当方は「食玩としての鉄道コレクション」というタイトルで講義を行いました。平成25年以来、久々にこの内容で行ったのですが、話の流れは、「食玩」とは(食品のオマケとして付いていた)各種のフィギュア類で、ブラインドパッケージ方式の販売方法を採るものが多く、コレクターが懸命にコンプリートを目指すこと、「鉄道コレクション」とは㈱トミーテックから発売されている鉄道車両のディスプレイモデルで、鉄道模型Nゲージに準拠した規格で作られており、別売パーツを追加・交換することにより、Nゲージの線路上を走行させることができることなど、これらを一通り説明した後で、「あなたなら、この分野について、どんなビジネスチャンスを見出しますか?」と来学生徒に水を向けるというものです。
講義に先立ち、内容をアップデートする作業と、「現物」である(A3トランク内に作った)レイアウト(車両の走行が可能な情景模型)を引っ張り出し、整備に取りかかったのですが、アップデートのためにいろいろ調べていくと、鉄道コレクションの価格が高騰しているのに驚きました。平成17年に発売された第1弾では1コ\400であったものが、第5弾では\600、第15弾では\800となっています。それが平成27年の第22弾ではとうとう¥1,200になりました。これは主に中国の労働賃金が近年徐々に上がっていったことに起因するものでしょうが、この間、売れ行きがどのように変化しているのかなど、大いに興味をそそられますね。
また、いつのまにか(正確には平成21年から)、「全国高等学校鉄道模型コンテスト」なるものまで開催されていました。これは高校生向けの、レイアウト表現技法を競うコンテストで、鉄道模型関連のクラブのみならず、美術部とか歴史・地理部とかの参戦もあります。さらに女子校も参加しており、後援には文部科学省も名を連ねています。言わば高校野球における「甲子園」のような檜舞台で、このような場を設定することで鉄道模型趣味の裾野の拡大を狙い、それが定着しつつあるところなのでしょう。
このような追い風の状況に少々気をよくして、5月20日(土)のオープンキャンパスでの講義に臨んだのですが、20名余りいた来学生徒はほとんどが当方の話に興味を示さず、拍子抜けしてしまいました。以前には大いに食いつきがよく、トランクレイアウトを披露すると、「癒される...」との感想を述べる生徒までいる状況だったのですが、この状況には当方も内心、大いに驚いてしまいました。当方の講義は、確かに、男女ともマニア気質(何かにハマる傾向)がある生徒には大いに受けるのですが、そのような気質のない生徒にはまるで面白味を見いだせないのです。そこで、この現象はたまたまこの回だけのことなのか、それとも本学部を志望する大半の生徒の気質がここに来て変わってきているのかなどなど、マーケティングの観点からマジメに考えないといけないようです...。(正岡利朗)
5月のオープンキャンパスでの話