還暦同窓会についての個人的感想

当方も還暦に達し、昔のことを懐かしく思うお年頃となったのですが、好都合なタイミングで高校の同窓会(同期会)の案内が往復はがきで来ました。当方が卒業したのは千葉県立東葛飾高校で、県立高校にもかかわらず、私服で校則もなきに等しく、自由を大いに満喫しました。そんな高校でしたので、返事は脊髄反射的に「出席」で出しました。

その同窓会は、昨秋の休日に高校所在地の千葉県柏市で開かれたのですが、会場に到着したときから、当方には違和感がありまくりでした。一見したところでは、誰が誰だか全然わからないのです、まぁ、月日は40年以上流れているわけで、無理もありませんが。悪い人相になったヒトはほとんどいませんが、それにしても、基本的に若いときの面影が見いだせず、目に光がないヒトが多く、年よりじみて、果ては妖怪のようになってしまっているヒトとかもいて、本当にジジィ手前の集まりでありました...。

そして、かつて3年生で所属したクラスごとに丸テーブル席につきました。隣に座ったのはわりと知っているヤツで話が弾んだのですが、後は親しくないヒトばかりでした。出席者全体の名簿を見ても、知らないヒトがあまりにも多いのです。これはなんとしたことなのでしょうか。そのうちに、一人30秒程度での自己紹介タイムが始まりました。

これを聞くと、出席者は首都圏で働く(働いていた)会社員のヒトがほとんどで、自分と同じような研究職のヒトとかはほとんど参加していないことが判明しました。また、健康面については、かなり多くのヒトがなんらかの基礎疾患を抱えているとのことで、隣に座ったヤツなどは、糖尿、高血圧その他を抱えているのにヘラヘラしているので、「怖くないのか?」と聞いたら、「もう慣れた、なるようになるさ」という返答でした。

そして、2次会に突入して、新たに同席したヒトたちより、今回の同窓会の開催経緯が聞けました。なんでも、同期のFacebookグループが存在するとのことで、今回の出席者はほとんどがこれに所属しているとのことでした。つまり、普段から連絡を取り合い、それなりの人脈を形成しているヒトたちが、コロナも明けたし、そろそろ同窓会でもやるかという話になって、幹事団が選出され、連絡もFacebookを通じて逐次スムーズになされ、それに幹事の一人より往復はがきで連絡が来た当方のようなヒトを一部混ぜたとのことでした。なるほど、当方が知らないヒトが多数であったのはこれで合点がいきました。

高松に帰った後、当方が会いたかった方々数名に連絡を入れたのですが、皆、「同窓会があったのか!」と驚いていました。そして、「キミは連絡が来たら出たか?」と尋ねると、「いいや、恐らく行かない」との回答でした。今回、当方が主に会いたかったのは、高校当時、同じく理系コースに所属して切磋琢磨した仲間で、現在も第一線で研究職や技術職に就いている方々でした。大学生の頃と同様、彼らと最先端の技術課題やその解決アプローチなどについて意見交換し(実際には教えてもらい)たかったのです。しかし、鈴木信行『同窓会に行けない症候群』(日経BP)によると、彼らは現在も仕事が忙しいが故に、同窓会などに参加するヒマはないとのことです。

なるほど、確かにそうかもしれませんね。さらに同書によると、昭和の時代では、右肩上がりの成長により、多くの勤め人が胸を張って同窓会に出席できましたが、低成長が続いた平成の時代では、出世も困難で、自信を失ったヒトも多くなり、同窓会がそもそも成り立ちづらくなっているようです。してみると、同期卒業生361名(卒業後の死亡者は数名確認されているようです)のうち100名程度が所属しているFacebookグループメンバーの大半(80名程度)が出席した事実より、我が同期生の卒業後の状況は比較的ましと考えられるのかもしれません。

ここに至り、当方は、自分が、同窓会を単純に、牧歌的に捉えていたことを思い知りました。まぁ、何事も自ら経験してみると、実情が具体的に理解できるので、よい経験値UPにはなったのですが、ならば、今後、同窓会が再び開催されたら自分は出席するかというと、やはり、行かない側に回りそうです。同窓会という形式は、人数が多く、やたら騒がしく、ゆっくり話もできないので、それよりは、会いたくなったヒトに個別にアポを取って、会いに行った方が相当ましと思った次第です。

その際の話題ですが、今後は、年齢的に仕事についてはフェードアウトしていくので、趣味が中心となるでしょう。現在の自分の趣味は、まず、「旅行」と答えるのですが、その内容は「離島訪問、B級グルメ、温泉、車中泊」などとなります。続いて、「ホームシアターでの昔のアニメを中心とする映像鑑賞」があります。「PC」も自作するぐらいだから趣味に数えてよいでしょうね。そして、「サイクリング」、これは今でもちゃんとトレーニングしているので、胸を張って言えますよね。忘れていたのが「鉄道模型」、大型レイアウトは未だ制作していませんが。他に、「読書」としては、軍事、鉄道、恐竜とか、いろいろなジャンルの本を集めています。さらに「麻雀」や「クイズ」も、趣味に数えられるかもしれません。

とりあえず、自らの趣味を思い起こしてみましたが、我ながらわりと多趣味ですね。この程度あれば、会いたいヒトたちと数時間意見交換するのは容易だと思われるのですが、果たしてどうでしょう?そして、同窓会でも、このような情報提供の工夫があれば、その後の交流促進に繋がったかもしれませんね(各種SNSで勝手にやれ、と言われそうですが)。

正岡 利朗