中国の住宅事情

上海近郊の合肥市で開催された第24回日中企業管理シンポジウムに参加し、発表も行いました。そこで聞いた中国の住宅事情です。
シンポジウムが開催された合肥市は安徽省の省都で人口500万人の都会です。
まず、マンションの建設ラッシュに驚きました。数年前の北京や上海の建設ラッシュが波及しているという感じです。シンポジウム会場のとなりにも立派な数百戸規模の大きなマンションが完成していました。ところが人が住んでいる部屋はほとんど無く、加えて2/3は売れていないそうです。
面積は平均的には100m2(中国では共用部分も含まれるため、日本流に言うと80m2)位の部屋です。m2あたり5千元から1万元ですから、100m2では1000万円です。市内にたくさんあるマンションの半分がまだ売れていないようです。それにも関わらず、マンション建設は続いていました。地方都市では住宅関連企業が大きな利益をあげているのもうなずけます。
次に驚いたのが、農民住宅の立派なことです。土壁とわら屋根の住宅を想定していましたが、全て(本当に見えた範囲では全て)の住宅がここ数年で完成した2階建てもしくは3階建ての新しい住宅です。3階建てを50万元で新築する事が出来ますし、内30%は政府の補助です。補助があるとはいえ、全ての住宅が新築なのに驚いていると、中国では若い男性の方が若い女性より10%多く、新築住宅を持ってないと結婚できないそうです。そこで貯金のない農民は内装をせずに外装だけ新築しているそうです。そして都会に出稼ぎに出て、1年で2万元とか3万元を稼ぎ、住宅ローンの返済に充てているのです。また、山間部に点在していた農家は、目的は不明ですが、平野部の集合住宅に移住させているそうです。
このように安徽省では建設ラッシュが続いています。しかし、上海市は数年前の建設ラッシュがうそのようです。上海市は現在人口2300万人で、市内にはマンション建設を行う土地がありません。私が会った上海理工大学の教員は結構中心部に住んでいるのですが、大学までバス・地下鉄・バスと1時間半かけて通勤しています。これくらいが快適に通勤できる限界のようです。今からマンションを建設できる郊外だと、通勤に3時間とかかかるそうです。言ってみれば、徳島県に住んで、高松大学へ電車で通勤するようなものです。これはさすがに無理です。
また、価格的にも高価なマンションはm2当たり10万元です。これでは東京の億ションの価格を超えます。もっともそのようなところにはビジネスマンは住めません。普通のマンションでm2当たり3~5万元で、20年とか経ったマンションでm2当たり2万元です。教え子も400万元でマンションを買いました。これが限界でしょうね。夫婦共働きで年収は二人で12万元、8万元ずつ返済したとしても50年かかります。
中国の人は車もマンションも100年とか使えると考えているのではと思ってしまいます。
次に給与ですが、上海理工大学の優秀な教員で月給6000元です。家賃が2600元なのですが、国から千元、大学から千元の補助があるそうです。このような住宅補助等のない若い大学卒業生は4人とかで1部屋に住んでいます。さらに、大学を卒業しても就職できる学生は半分です。これでは若い人が夢を持つのは難しいなと感じました。(丸山 豊史)